自分を追い詰める“あの声”と付き合う方法。


自分を追い詰める“あの声”と付き合う方法。

こんにちは。
教員専門ライフコーチの蒼井櫻子です。

完璧主義・自責思考から、「他人のために身を削る自己犠牲」が癖になってしまった先生方を、継続コーチングとプランニング講座でサポートしています。

一人ひとりがもっている強みを活かしながら、穏やかに、やりがいを感じて働けるように伴走中です。


「厳しい声」が頭の中で鳴り続けていませんか?


あなたは、こんな声が、頭のなかや胸の奥で響いているということ、ありませんか?



  • 「本当にこれは完璧なのか?」

  • 「まだやれることがあるんじゃない?」

  • 「人に嫌われてはならない」

  • 「迷惑をかけてはいけない、甘えてはいけない」


気づいたら、こうした声に追い立てられて「自分のことは後回し」「他人のために身を削る」働き方になってしまう。



そんな先生が、私のところにはたくさん来てくださいます。

今回は、そうした自分の中にある“厳しい声”の正体と、その付き合い方についてお話しします。




この記事を…

👉見る(YouTube)

👉聴く(stand.fm)



※ SpotifyやAmazon MusicなどのPodcastアプリでもお聴きになれます。

「蒼井櫻子」または「先生だって定時に帰ります」で検索🔍

「厳しい声」はどこから来ているのか


まずは、厳しい声の出どころから見ていきましょう。



ビリーフ=子どものころに身につけた「処世術」


完璧主義や自責思考が強い先生は、つい自分にプレッシャーをかけて追い詰めてしまいます。



でも、この声って、性格の問題ではなくて子どものころから「生き抜くため」に身につけた処世術なんですよね。



こういう、自分を守るために生まれた信念・思い込みを「ビリーフ」と呼ぶことがあります。いわゆる「思考の癖」の土台になる価値観です。



何かをしたり、考えたりするときの大前提。もはや意識すらしていない「当たり前」。それがビリーフです。



ビリーフが生まれる背景


たとえば


  • 「まだやれることがあるんじゃないか」という声がよく聞こえる人は、昔から、汗水たらして頑張らないと「ほめてもらえない・認めてもらえない」という経験を重ねてきたのかもしれません。

  • 「人に嫌われてはならない、がっかりさせてはならない」という声がよく聞こえる人は、周囲の期待や他人の要求に応えることで「愛してもらえる・大切にしてもらえる」と感じてきたのだと思います。


ビリーフは、もともとは私たちを守るためにできたものです。


ただ、大人になった今の環境でも、そのままの強さで働き続けると


  • 仕事を抱え込みすぎてしまう

  • 「私はまだ足りない」と自分を責め続けてしまう

  • 自分の体調や気持ちを置き去りにしてしまう

といったことが起きます。



結果的に、先生方の「働き方」や「生き方」そのものを追い詰めてしまうんですね。

厳しい声の正体=自分軸のヒント


ここからが、今日のテーマの一つ目のポイントです。



一見「不健康」に見えるけれど、その奥には…

私自身、もともとかなりの完璧主義です。



とくに授業と定期考査へのこだわりが強くて、


  • できるだけセンター試験(今の共通テスト)や模擬試験に対応できる力がつくように授業を組み立てるべき

  • テストはそれらに近い予想問題になるようなものを出すべき

と強く考えていました。今、客観的に見ても大きく間違っているとは思いません。



ただ、問題だったのはそれを達成するために自分を追い詰め過ぎたことです。



そのためにいろんな本を読んだり、入試・模試を調べたりしながら授業・考査の準備をしていて、家でも勉強しながら寝落ちすることがよくありました。



だから、他の先生が数日で作った問題を見ると、

「なんでこの問題を出すんだろう?」
「これを問う意味って、何なの?」

と戸惑うことも多かったんです。



こだわりが強い分、他人にも厳しくなっていたんですね。



そしてもちろん、他人に厳しくなると、その視線は何倍にもなって自分にも向きます。



「他人にこう思うということは、自分はそれ以上にやっていないとおかしいよね?」



どんどん自分を追い込む厳しさが増幅して、キリがなくなっていく状態です。ここだけ切り取ると、たしかに不健康だし、しんどそうですよね。



それでも、絶対に譲れない「価値観」が見えてくる


でも、少し引きで見て、冷静に考えてみると「私には、絶対に譲れない価値観があったんだな」ということにも気づきました。



それは、

「私は、生徒に取り組みがいのある授業・考査を作る教員でありたい」
「私の授業やテストを通して、考える力・得点する力をつけてほしい」

という想いです。



  • 楽しいだけの授業じゃなく、「自分で学習する力」がつく授業。

  • 社会の大枠を捉える力がついて、入試を乗り越える胆力が養われるような授業。

  • 「考える面白さ」を感じてもらえる授業。

そこに、私のこだわりがあったわけです。



つまり、ビリーフや「〜すべき・〜ねばならない」が顔を出していても、その裏側には、譲れない価値観=自分軸の“かけら”がある…ということなんです。



「その裏には、どんな思いがあるんだろう?」


だから、自分を追い詰めるような声が聞こえてきたときには、「この声の裏には、どんな思いが隠れているんだろう?」と一度立ち止まってみることが大切です。



「自分を責める声」だけにフォーカスするのではなく、その奥にある願い・理想・価値観に目を向けてみること。



それが、自分軸をつくる第一歩になっていきます。


反論と線引きで付き合ってみる


二つ目のポイントは、厳しい声との付き合い方です。



私はここで、

  • 自分軸を「言語化しておくこと」

  • そしてその軸をもとに「反論」と「線引き」をすること

を大事にしています。



私は5つの自分軸に名前をつけて、マイプリンシプル=私の原則と呼んでいます。



この夏に少し改定したのですが、今はこの5つです。

  1. 自分の心と体を一番大切にしている

  2. 大切にしたい人を自分と同じくらい大切にしている

  3. 自分が穏やかでいられるものを選んでいる

  4. 学びや成長、着想を得ることに喜びを感じている

  5. 言葉も行動も、いつも誠実な人間でいる


この中でも、いちばん強く意識しているのが一つ目。「自分の心と体を一番大切にしている」です。



完璧主義や心配性が行き過ぎた結果、私は過労でうつになったことがあります。



あの経験があるからこそ、「自分を削る働き方は、もうしない」と決めています。



先生って、「子どもたちのために何かできることがあるはずだ」と思うあまり、自分の気力・体力を気にすることを「悪いこと」と感じてしまうこともありますよね。



少なくとも、私は若いころ、近い立場の先輩にそう教わってきました。
「無理をするのが教員のあるべき姿」だと思っていたんです。



でも、その結果、私は壊れてしまいました。



だから今は「自分が健康であること自体が最優先」というのが、絶対に譲れない自分軸になっています。



完璧主義が出てきたときの「反論」


  • 「まだ完璧じゃない」

  • 「ミスがあるかもしれない」

  • 「もっといい問題が作れるかもしれない」

そんな焦燥感に駆られているとき、私は自分軸を思い出して、こんなふうに反論しました。



「このまま続けたら体を壊すよ」
「寝るのが遅くなって調子が悪くなる。それはあなたが望んでいることじゃないよね?」



すると、心の中で「そうそう、その通りだわ」と納得して、しぶしぶでも手を止められることが増えていきました。



「ちゃんと休めた」という経験が少しずつ積み重なることで、「止めどき」がわかるようになってきたんですね。



線引きを見つけていく


こうして、自分軸に照らし合わせて反論していきながら、「どのあたりで完璧主義に線を引くのか?」を、少しずつ見つけていきました。



その結果として私は、担任がいなくても回るクラスづくりに取り組んだり、「完成度の高さを目指す仕事」をかなり少数に絞ったりするようになりました。



そのおかげで、 1日16時間勤務だった働き方から、定時退勤ができるようになったり、予定時刻にサクッと帰ったりできる働き方へと、だんだん変わっていきました。



ビリーフが顔を出したとき、すでに自分の中にある自分軸に照らしてみることで、落ち着いて冷静に判断できる場面が増えていきます。



その積み重ねが、自分軸を「太くてしなやか」なものに育てていくのだと思います。


今日からできる実践ワーク


最後に、日常の中でできる簡単なワークをご紹介します。通勤中や手帳タイムに、ぜひ試してみてください。



STEP① 自分の中の「厳しい声」を書き出す


頭の中で鳴り続けている厳しい声をノートや手帳に書き出してみてください。


  • 「もっとちゃんとやらなきゃ」

  • 「迷惑をかけちゃいけない」

  • 「この程度で満足してはいけない」

など、思いつくままに書いてみます。


STEP② その裏にある「価値=自分軸のヒント」を探す


その声の裏にある価値を探してみます。

「この声の裏には、私のどんな思いや価値観が隠れているんだろう?」

と問いかけながら、一つひとつ見ていきます。



STEP③ その価値を活かした行動を考える・やってみる


見つけた価値を活かすとしたら、「今後どんな行動がとれるだろう?」と考えてみてください。


  • 一つの仕事にかける時間を決めてみる

  • 「今日はここまで」と自分で区切る練習をする

  • 誰かに少しだけ頼ってみたり、違う方法を考えたりする

など、小さな行動で大丈夫です。



時間に余裕があれば、


  • その声は誰の声なのか

  • その声が今までどんなふうに自分を守ってきたのか

を整理してみるのもおすすめです。



少しずつ続けていくと、仕事の仕方も、対人関係の在り方も、自分に優しいものへと変化していきます。



厳しい声が教えてくれる2つのこと


  1. 子どものころから自分を守ってきた「ビリーフ」に気づくこと

  2. その裏にある「自分軸のヒント」を見つけること


ビリーフは、子ども時代の近所づきあい、学校のクラス、家庭といったとても狭いコミュニティのなかで身につけた処世術です。



大人になった今の私たちには、もう合わなくなっている部分もたくさんあるんですよね。



でも同時に、そのビリーフは「人として本当に大切にしたいもの」とつながっていることもあります。



問題なのは、その声が自分を追い込みすぎて、


  • 自分を責め続けてしまうこと

  • 精神的な自傷行為のようになってしまうこと


だからこそ、その部分だけをやさしくはがしていくイメージで、本当に大切にしたいことだけを周りをそぎ落として見えるようにしていく。



そんな丁寧な作業が必要だと思っています。



今日のお話を読んで、


  • 心に残ったこと

  • 「これ、私のことかもしれない」と感じた一文

  • あなたの中でよく聞こえる「厳しい声」

は、ありましたか?



ひとりで抱え込まず、言葉にして誰かに共有することも、厳しい声との距離を少しずつ変えていく一歩になります。



きれいな文章にならなくて大丈夫です。
「うまく言えないけど、なんとなくモヤモヤする」でも大丈夫です。



一人でやってみるのが不安だったり、自分のビリーフや自分軸を「誰かと一緒に言葉にしてみたい」と感じた先生は、無料セッションを活用してくださいね。


  • 自分を追い込んでしまう考えグセの整理

  • ビリーフの棚おろし

  • 「自分の心と体を大切にしながら働く」ための次の一歩


を、一緒に言語化していきましょう。



>>>無料セッションを予約する



>>>前の記事