教員専門ライフコーチ蒼井櫻子です。
私の発信をご覧の先生には、
手帳を書く習慣が既に身についている方
手帳に日々の記録をつけ始めた方
要らないタスクを見つける練習中の方
それぞれいらっしゃると思います。
なかでも、手帳を書き始めた方に多いのは「計画通りにいかない」というお悩み。
ただし、ご留意いただきたいのは、手帳ユーザーでも計画通りピッタリに毎日過ごせる人はごく稀だということ。
もちろん、【先生のためのプランニング講座】を主宰する私も同じで手帳はいつも真っ赤になります。
※ 私のお伝えしているプランニングでは…
予定・予測=黒
自分時間=青
結果=赤
の、3色で手帳を書いていきます。
真っ赤になるということは、予定と違うことが結構あるということですね。
私は、この赤字を「データ」と受け止めています。
30分かかると予測したタスクが、実際は20分または45分だったとしましょう。いずれにしても、予定・予測と結果にずれがあったのはなぜか?と考えることが重要です。
プランニングがうまくいかないと思っている人は、こういう考え方をします。
予定より早く終わった
⇒ 自分の能力が上がった(自画自賛)
予定より時間がかかった
⇒ 自分の能力が足らない(自己否定)
※ ここでいう「能力」とは、インテリジェンス(情報収集・分析、理解、決定の力)のこと。
お気づきのように、結論が「能力の充足/不足」で終わってしまうと、変化は見込めません。
働き方を見直したいのであれば、「早く終わった/時間がかかった」理由を分析して翌週以降のやり方を決定する力を伸ばすのがよいでしょう。
何分のずれが起きたか?その理由は?
予定になかったことが入った経緯は?
どのように調整したか?
今後、どう活かすか?
このような問いかけをしてみると、日々の業務から改善策を思いつきやすくなるのでおすすめです。また、それ自体が自己効力感を上げてくれます。
一方、そもそも破綻する計画を立ててしまうことがありますよね。しかも、気づくのはいつも1週間終えたとき。
では、破綻する計画を立てやすい思考についてわかれば、事前に注意できるかもしれませんよね。
計画が思うようにいかずに自己否定が癖になっている方や、手帳を開くのが億劫になりかけている方でも、来週のプランニングを楽しめると思います。
この記事を…
教員であれば日常茶飯事なのが「人に話しかけられる」。見るからに作業中なのに、話しかけてくる同僚に苛立つ先生もいらっしゃるでしょう。
また午後になればなるほど、集中力が落ちてコーヒーを飲んだり、ボーっとしたり、同じ島の先生に話しかけたりするものです。
そんなときにちょっと面倒な仕事が舞い込んできて、そういう依頼をする教員ほど「なるはやで!」「ざっくり」とか「もう決定だから」と無遠慮で丸投げなコメントを載せてきます。
こういうことが発生することを知っているのに、度外視していると破綻した計画が出来上がります。
「他にやるタイミングがないから」と、手帳の上だけでパズルのようにタスクの所要時間を調整して、「やるしかない」と自分にプレッシャーを課してしまいます。
ですが、端からできないことを数字だけいじってできるように見せるだけなので、当然無理です。
それで「自分には時間通りに終わらせる能力がない」と結論付けて自己否定をしても、根本的な悩みの解消には残念ながら1ミリも近づかないのです。
こういう状態になりやすいとき、どんな手があるでしょうか?
私がいつも言っている「要らないタスク(C)を消す」をやってみてください。
要らないタスクとは、
誰かにとって便利なもの
やってあげたら誰かが喜んでくれるもの
…でしたね。
「テストを作る」のような大きなタスクを書いていませんか?
日本史の場合、
大問は少なくとも5つ
リード文の打ち込み
図表、史資料の挿入
選択肢の打ち込み
出題パターンのバリエーション
配点
解答用紙・模範解答作成
解説の作成
…があります。
テスト作成をイチからやるタイプの先生であれば、1ヵ月以上は期間を設ける方がいいです。考査期間は遅くとも学期始めにはわかるのですから、作業開始日は設定できます。
論述問題を3つ選ぶ
問題番号に誤りがないか確認する
のような、シングルタスクに分けてみてください。
1日で1タスクできれば帰ってOKにしてください。
分掌の業務も立て込むような時期に複数のタスクを同時並行する場合や、生徒指導・保護者対応に時間がかかって締切が迫るとき。
いつもと同じ調子で、同じ完成度のものをつくろうとしてはいけません。そういうときは「期限に間に合わせる」ことだけが優先されるからです。
潔く「今もてるリソースだけで」完了させることが大事。
そのうえでつくった授業に手ごたえがなかろうと、テストの平均点が高かろうと、期限に間に合ったんだから合格。出題ミスがなければボーナス点をつけてもいいくらいです。
特に小学校の先生とお話していて感じることですが、構造的な背景から「目の前の1週間だけ見ている人が多い」という印象があります。
小学校の先生とお話していると「事前準備をしたのに間に合わなかった」というコメントを聴くことがありますが…
あなたは「事前」という言葉から、どれくらい前をイメージしますか?
私自身は「少なくとも1ヵ月前」をイメージしますが、小学校の先生方は「先週」とおっしゃることが多いのです。
「先週」というと、私には直前に感じますが、どうでしょうか。
小学校には、週案がありますよね。
金曜日に翌週の授業と内容を提出するものですが、入力しているうちに「〇〇先生と調整しなきゃ」「□□の教材つくらなきゃ」と思いついて動き出すことになります。
週末に入力すると、他の先生への依頼は週明け(前日夕方や当日朝)になるし、教材準備は土日や前夜になるわけです。
プランニングが上達し、先を見通せるようになった先生は、学期始めや月初めに大まかに計画したものを起点に週案を書くようになります。
先生によって見ている時間が違うことにも気づくので、現場がスムーズに動けるように声掛けをするようになるんですね。
週案でできることもあるけれど、見えなくなるものもあるようです。裏と表のようになっているのではと思います。
中学・高校の先生には週案がありませんから、文字通りの自転車操業になるケースもありえます。
その場合は、中長期の計画を立てるサポートをしていますので、無料セッションを予約してくださいね。
「短期の計画すら立てられないのに、長期の計画なんてできない」
このようなコメントをいただくことがあります。
ところが、先のトピックのように長期計画を大雑把につくっておいたほうが短期計画はつくりやすいと思っています。
ここでいう長期とは、教員向けに学期レベルのお話です。
大雑把といっても、どれくらいかというと…
7月1週目にクラスTシャツの発注を終えるには、6月2週目のLHRでデザイナーを決める(日付まで決まる)。
8月に夏期講習があるから、教材づくりは1学期期末考査期間中に始めて7月中に印刷する。
これくらいです。
ポイントは作業期間を予測よりも1.5~2倍に設定することです。
何日に何をやるかは、1~2週間のプランニングでできることです。
大雑把でも長期を意識していると、目先の1週間がうまくいかなくても挽回できるので問題ありませんし、有休もとりやすくなります。
あなたの目の前にある1週間が大勝負になることはまずありませんので安心してください。
以上が破綻する計画を立ててしまうときによく見られる思考です。心当たりはありましたか?
実現可能なプランニングに必要な細かさというのは、データ集めに求められます。
何に、何分かかったか。
それは何がそうさせているのか。
手帳の書き始めは、とにかく記録をつけて自分のデータを収集することです。自分の現実を飾ることなく把握するという意味での細かさです。
最後に、今回のテーマで一つ意識してもらいたいのは目先のことにしか意識が向かなくなったら、余裕がなくなっている証ということ。
時間的にも精神的にもそうです。
生徒との向き合い方、同僚との関係、自分自身との付き合い方で、短期での変化を要求したくなった時は自分に余裕がない証拠。
あえて、自分の頭を後ろに引っ張るつもりで長期でとらえる練習をするといいですよ。