教員専門ライフコーチ蒼井櫻子です。
「完璧主義」とは、物事に不十分な点があることを許さず、不足や欠乏のない状態であることを求める考え方や性格などを指す表現。妥協を許さないさま、ほどほどの加減を知らないさま。
出典:Weblio辞書
私の発信をご覧になる方の多くは「完璧主義」を自認していると思います。
さて、先の定義に異論はないと思いますが、たくさんの先生方とお話しているなかで「完璧主義には少なくとも2通りある」と考えるようになりました。
今回は2通りの完璧主義のうち、先延ばしに直結するものを取り上げてみました。記事の後半では長期のプランニングと「どうしても間に合わないとき」の対処法について紹介しています。
▼この記事の内容を…
完璧主義と自認している人は、少なくとも2つに分かれると思っています。
計画重視型と理想追求型です。
計画通りに進めることでちょうどいい具合、むしろ少し早い時期にタスクを完了する。つまり、計画自体に完璧を求める人です。
そのプランには、先延ばしの可能性や中だるみに陥る時期、トラブル対応の時間もすべて入っています。
だから、それが起きなければすべて“巻き”になるわけで、その分熟考する時間が生まれることがあります。
ただし、想定外の事態には対応していません。
計画が崩れることに耐えられず、几帳面すぎて困る人もいますし、その都度計画を調整しながらも間に合わせることに喜びを感じる人もいます(こちらは完璧主義に困っていません)。
非の打ちどころのない精巧な成果物に、自分自身が納得したい。
つくったものや、取り組む自分自身に完璧を求める人です。
完成したイメージやルート、方法を熟考することの優先順位が高くなりがちです。
ところが、どれだけ考えても理想(多分イデア界にあるような話)にならず、答えがでないので作業に取り掛かることができません。これが非常に苦しい。
「本当にこれが究極の理想形か?」と自分を疑うことも多くなると思います。
純粋な探究心からくることもあれば、「仕事ができないと思われたくない」という別ルートから至ったという人もいます。この場合、手帳術や時短術・仕事術とは違うアプローチが必要です。
さて、あなたはどちらのタイプでしょうか?
このうち、先延ばしをしやすいのは「理想追求型の完璧主義」。もちろん、私も元来こちらです。
提出期限ギリギリになって焦る
休日や睡眠、食事の優先度が落ちる
鬱になった要因のひとつに「理想追求型の完璧主義」があると感じています。
もとは純粋な探究心から始まったものの、職場の陰口が気になり出してからは違う方向に伸びたような気がします。
今回は理想追求型完璧主義との付き合い方について、弱点を知ったうえで考えてみたいと思います。
理想追求型は「知りたい」「スカッとしたい」という衝動に堪えるのが苦手です。
時間のかかる大きなタスクよりも、手当たり次第の情報収集や達成感のある些末なタスク、緊急性のない好きな仕事をやりたくなります。
目先の楽しさや納得感、爽快感のために、面倒なテストや資料作成は後回しになります。考えごとや調べものに時間のかかる人も同じです。
本来なら数日で済むタスクであっても、その「数日」はスッキリ感を我慢しないといけません。
また、つくったもの自体には納得いきませんから、目先の「やった~!」「なるほど、わかったぞ!」が欲しくなるのです。
この傾向に悩んでいる方は、掲げている理想と自分の実力や状況に差がありすぎることを何となくはわかっています。
ただし、受け容れるのには勇気がいります。
だから、自分の実力を何とか無理矢理引き延ばそうとしたり、寝食を削って時間を伸ばそうとしたりして、心身に影響をもたらしてしまうことがあるんですよね。
では、どう向き合うとよいのかというと…
今の自分ができることで“今の理想”をゴールに設定するということです。
あなたが今もっている力、材料でやる。
1年前のあなたと今のあなたとでは、できることの種類や内容が変わっていることを自覚しているはず。生徒に「コツコツでいい」と声掛けするのと同じことです。
理想追求型で悩んでいる先生は、何かを恐れていることがあるのでそちらの理解を深めることが必要になります。
自分と向き合うのは時間がかかることなので、こちらでは長期にかかるタスクの進め方を簡単にまとめておきますね。
プランニングがうまくいけば、自転車操業している感覚から少し離れることができると思います。
1.締切日時を手帳のウィークリーページに記入
提出日は前日に設定、自分用の締切は修正を考え、さらに2日前に設定
⇒ 今日から起算して残された日数が確定
2.大タスクを小タスクに分ける
昨年度以前のデータを細かく見て、必要なステップを書き出す
同僚に依頼する仕事、自分がやる作業を区分して順番、依頼&着手日時を決める
※ 「やったらいいかも!」というアイディアはひとまず書き出して、着手は最後に
⇒ 優先順位がザックリ決まる
3.時間を予測
各作業に何分かかるか、普段収集しているデータをもとに予測する
心配なときは1.5~2倍で予測
トラブル対応も想定し、1タスクを小刻みで3日程度かけるようにする
予備日も入れること
⇒ 数日~1週ごとにペースが決まる
1~3は、締切が決まる前から「やる」ということ自体がわかったときに暫定でもやっておくといいです。
シンプルですが、早々に依頼主へ「間に合わない」と伝えるのがいいです。
早々に、とは1週間ほど前。
依頼主が「何で今更言うんだ」とストレスを感じる直前ではダメです。
このとき工夫するといいのが「相談」「交渉」のつもりで話してみるということ。
締切には、〇〇までは出せます。
▲▲の部分だけ、□日にさせてもらえませんか?
〇〇の部分がうまくいかなくて、▲▲があれば早まると思うんですが…
“甘ったれ”に聞こえるかもしれませんが、依頼主の立場で考えてみると、対処のしようがない段階まで粘られる方が困ります。
管理職が相手でも、教員の場合は通じることが多いと思います。
誰にも頼めない、と感じているときに依頼主が別の教員に頼んでくれたり、締切に融通をきかせてくれることもありますよ。
頼めないという事態は、いくつかのパターンで発生しますよね。
自分が一番楽だと錯覚する
みんな大変だから、と遠慮する
職場での人間関係ができていない
適性のない人に依頼しようとする
それなら誰かの手を借りるために、他者の手を借りるという方法もありなのです。
ここまでお読みのあなたならおわかりのように、完璧主義自体は悪いことではありませんし、それとは関係ないところで解消できることも多いのです。
そして、完璧主義という特性が活躍するシーンに気づかずに、足を引っ張ったときにフォーカスしているとしたらどうですか?
自分自身との付き合い方を工夫してみると、世の中はもっと優しく見えるはずです。