教育実習も、事前準備とプランニングで「学び」に変えよう。


教育実習も、事前準備とプランニングで「学び」に変えよう。

女性教員専門ライフコーチの蒼井櫻子です。


怒涛の4月がようやく終わっても、まだまだ息をつくタイミングがない1学期。考査、修学旅行・校外学習、体育大会・運動会練習…そして教育実習。


私は、中堅・ベテランが超長時間勤務に至る要因のひとつに「教育実習」があるかもしれないと考えているのですが、あなたはどう思いますか?


私は大学4年、大学院1年で中高2週間ずつの実習という、ちょっと珍しい方法で免許を取りました。


就職したのは中高一貫校。発達段階・校種・校風の違いで、教員としての在り方が大きく変わってくることを実習で体感できたのは、大きな意味をもちました。


高校では専門科目に対する圧倒的な知識量とプロ意識。中学では生徒と正面から関わり合い、徹底的に向き合う(精神的な)足腰と度量。


実習期間中に身をもって学んだことや、教官から言われた強烈なメッセージを業務中に思い出すことがよくありました。

👉中堅・ベテラン教員の教育実習体験について振り返ったInstagram Live


教育実習は「働きすぎ」の根源でもあった。

実習があの学校でよかった、あの教官に出会えてよかった…と確かに思うのですが、特に中学の実習では教員生活の「正解」を刷り込まれたと感じています。




  • 学級通信を毎日書く。

  • 早朝に出勤し、日付が変わるまで働け。

  • 休日出勤しないと仕事は回らない。

  • 部活は技術指導から完璧に。




教官だけでなく、関わってくださる先生方みなさんがそういう感じで、夕方に帰る先生はママさんを除き、「サボり」認定されているのが教生の私にも明確に伝わってくるほど(そして、パパさんは日付が変わるまで働くのです)。



朝7時に出勤し、20時に退勤しようとしたら教務主任から「今年の教生は帰るのが早すぎる」と言われました。



2000年代ごろまでの実習は、こんな感じではありませんでしたか?



就職すると、ベテラン勢は早朝出勤、夜残業、その両方…と、「定時のない多様な働き方」が溢れていましたし、直属の先輩たちは「教員なら残業しろ」というタイプでした。



教員の働きすぎには、いろいろな理由がありますが、個人レベルでいえば思考の傾向が挙げられます。



私の場合、優等生気質(実力ではなく内申点が高い)だったため、「勤務時間を延ばして頑張れば、新人いびりが終わるかもしれない」と思い込んでいました(問題は「新人いびり」)。



のちにそうじゃない働き方をしている先輩も普通にいることに気づくのですが(-_-;)




私のようなタイプでなくても、先生方とお話していると「自分が犠牲になれば何とかなる」と考える方が多いです。


指導教官を気負わずに乗り越えるコツ。

さて、これまで4人の教生を担当してきた私ですが、先生方が今後担当されるときに勤務時間や負担を大きく増やさずに乗り切ってもらいたいと思います。私なりに「こうすると気が楽ですよ」というアイディアをまとめましたので、参考にしてくださいね。



  • 教生へのスタンス

教生が教員志望の場合、指導案も日誌も、生徒との関わり方も比較的細かくみますし、「教員として扱うよ」と伝えます。就職が決まっている場合、「組織で働く訓練だと思ってやってね。OB・OGではなく社会人として扱うよ」と伝えます。



  • 伝えていたルール
  1. 日誌や書類、授業プリントは決められた期限までに提出、誤字脱字しないこと
  2. わからないことはまず調べる。学校の図書館も、スマホも活用すること
  3. 生徒には教員として接すること。学校批判を生徒に展開せず、言葉遣いに留意する
  4. 担当科目だけでなく、授業の見学に行かせてもらうこと。多くの先生と話し、教生同士でアドバイスしあうこと
  5. 授業準備が間に合ってないなら部活にいかないこと



  • 事前打ち合わせまでにやること
  1. 担当する単元を伝えるため、授業計画を完成させておく。
  2. 計画通りに授業をする。
  3. 事前打ち合わせでやること
  4. 参考に自分の教材データを数個渡す
  5. 授業の担当日、クラスを伝える
  6. 教員志望/就職内定か確認し、スタンスを確認する

    • 実習期間中にやること

    1. 授業の講評にそなえて、見るポイントを決めておく (板書の仕方、立ち位置、視線の動かし方、指名、机間指導、指示の出し方、解説の内容)。

    2. 講評・指導・日誌点検に割く時間を固定し、手帳に書いておく。事前に指示を出す必要があるので、朝出勤したら毎日打ち合わせに来るよう指示する。


    ※確実になくなる時間を挙げておきます。

    • 朝、教生と打合せ 5~10分

    • 昼休み 20~30分

    • 講評 45~50分

    • 日誌点検 15分

    • 印刷・PCのサポート 30分

    ⇒ 合計2時間ちょっと


    授業準備はあまり必要ないけれど、分掌や教科の仕事をする時間は確実に削られます。できるだけ、教生の指導を引き延ばさないように気を付けるといいです。そのためにも、見る場所、伝えるポイントはあらかじめ決めておく必要があります。



    • 日誌の点検項目、所見テーマを決めておく。

    誤字脱字はペンで違うことだけを知らせます。訂正しません。特に気になることや伝えたいことがあれば丁寧に書きますが、教官側はギッシリ書かなくても大丈夫です。3行書けば十分。



    • 大真面目に授業を見るのは前半でとどめる。

    後半は、教生なりの型ができ始め、課題も見つけられるようになります。研究授業前ならなおさら本人が改善できることが多いので、実習後の授業について検討しながら見ることもできる場合が多いです。(ただし、教生のレベルによる)



    教員としての自分を振り返る貴重な経験

    研究授業は正直なところ、指導案作成に気を遣うので残業は延びがちなのは否めません。



    しかし、それ以外の業務は事前準備で先生自身の余裕を生み出せるのでおすすめです。ポイントはいつもと同じで「考えない、悩まない、迷わない」です。その場で「どうしよう?」と考えあぐねる時間が一番勿体ないですよね?



    先にできることは、少しずつ進めておくといいです。目安としては、事前にできる準備は1~2タスクを1週間で済ませるペースがよいと思います。ぜひ参考にしてくださいね。



    教育実習はとても大変です。気力、体力双方が削られますし、教生との相性もあります。



    一方で、教生から教わることも多いんですよね。教員としての在り方や指導について見直すとてもいい経験になりますし、理想の教員像を改めて考える機会にもなり、必ずキャリアにプラスに働きます。



    指導の経験が学びになるとしたら?と考えながら取り組むと、生徒たちとの関わり方も、授業の仕方もレベルアップするはずです。応援しています!